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~アジア会館のおすすめ~ とらや 赤坂店

かの有名は和菓子屋「とらや」の旗艦店は、東京・赤坂にあります。室町時代後期の京都で創業したとらやは、遷都にともない、1869年に京都のお店はそのままに東京へ出店しました。何回かの移転を経て、現在の場所に暖簾を構えることになったのは、1964年の東京オリンピックの年でした。

現在の赤坂店は2018年にリニューアルオープン。当初9階建てのビルを建設する予定でしたが、「これからの時代にお客様にとって居心地の良い店でありたい」という思いの下、現在の4階建ての建物となりました。建物は内藤廣氏の設計で、全面に国産ヒノキが贅沢に使われた、開放感と温かみのある空間が広がっています。

売り場のある2階までは、階段またはエレベーターで向かいます。建物を入ってすぐ右手にある階段は、よく見ると末広がりに作られています。これは自然と上ってみたくなるように設計された階段で、スぺ―スの関係上1階に売り場が設けられなかったため、お客様が2階に行きたいと思うよう工夫がされています。

2階は広々とした販売スペースです。季節のお菓子から定番の羊羹、店舗限定のグッズや書籍の販売もされています。

季節のお菓子コーナーに目を向けてみると、そこには虎の張り子とともに季節のお菓子が陳列されています。季節毎または年中行事毎に、違った商品を楽しむことができます。

鮮やかな色彩と繊細な居ずまいで一際眼を惹くのが「生菓子コーナー」。店舗を訪れた2月上旬は梅にちなんだ生菓子が販売されていました。お菓子の説明を良くみると、各生菓子の初出年代(記録上に初めて登場した年)が記されています。取材当日に販売されていた生菓子の中では、「椿餅」の慶安 4 年(1651年)が最も古く、とらやの歴史の長さをしみじみと感じました。

そんな歴史を感じさせる生菓子ですが、干支にちなんだ生菓子は毎年従業員からアイデアを公募して決めているとのこと。開発チームからは出ないような新鮮なアイデアが出てくるそうです。伝統を継承するだけでなく、新しいものを取り入れていこうとするとらやの柔軟な姿勢が垣間見られます。

※干支の生菓子は期間限定のため現在販売されておりません。
店内地下にはギャラリー、3階には菓寮が併設されています。
地下のギャラリーでは、現在「とらやと楽しむ寅年展」が開催されています(2022年4月5日まで)。長い歴史の中でとらやがどう虎と関わってきたのか。時代毎に変化する虎のモチーフとともに、それらのエピソードを知ることができます。また、過去に創られた干支にちなんだお菓子の写真も掲示されており、十二支それぞれの特徴を捉えたお菓子が持つ細やかさと愛らしさに、つい顔がほころぶことでしょう。とらやの虎と写真が撮れるユニークなコーナーもあります。

3階の菓寮はお菓子だけでなく、ランチタイムには食事を頂くことができます。菓寮はとても人気があるので順番待ちは必須ですが、オンラインで待ち時間の確認ができたり、窓際の眺めの良い場所に待合椅子があり外の風景が眺められたり、と嬉しい配慮があります。また、同じ3階には「御用場」と呼ばれる製造場があり、ガラス越しに作業風景を拝見することができます。少しでもお客様と職人さんの距離を近くしたい、という思いが込められています。

歴史の長いとらやは海外に1店舗あり、それがフランスのパリにあります。パリ店は2020年に40周年を迎えたそうです。そんなパリで販売されているとらやの商品が、日本では東京駅にあるステーションホテル内のTORAYA TOKYOという店舗で頂くことができます。「アールグレイ饅頭」や「ポワールキャラメル羊羹」など、お味が気になります。こちらも合わせてチェックしてみてください。

五世紀近い歴史をもつとらや。今後のアプローチ、特に若い世代に向けた取り組みについてお聞きしたところ、『私たちは今の時代のお客様に幅広く喜んでいただけるものをつくることを心掛けています』とご回答いただきました。時代の流れに合わせ、古きものに新しきを加える。このような時代を読み取る力と、それに合わせて柔軟に対応していく適応力が、今もなお真新しさを持った発信をしているとらやの長寿の秘訣なのかもしれません。とらやの発信する和菓子の文化を、ぜひ赤坂店にて体感してみてください。あなたも虜になることでしょう。


スタッフのおすすめ

「あずき茶」
小豆を炊く際に出るシブで作られた無糖のお茶。小豆もこんなに香ばしいのかと驚かされた一品。癖になる美味しさです。餡は甘くて苦手という方、ぜひこちらをお試しください。

特製羊羹「千里の風」
黄と黒の虎斑模様が勇猛果敢に風を切って走る虎を思わせる羊羹。屋号の虎にちなんでつくられた赤坂店限定の商品です。通年で販売されています。

「あんペースト」
餡を日常の中でもっと気軽に楽しんでもらいたいとの思いから、「あんのある生活を」をコンセプトにしたブランド「トラヤあんスタンド」。その「トラヤあんスタンド」が青山一丁目駅の地下街にあります。ぜひこちらも覗いてみてください。


【店舗情報】
とらや赤坂店 
東京都港区赤坂4-9-22
03-3408-2331
店舗詳細はこちら

アジア会館から徒歩11分